“窓を閉じた” Internet Explorerブラウザーの乗り換えはお済みですか?

日本・アジア地域チャネルマーケティング 執行役員 本部長 青木 大知

今年6月15日、Internet Explorerがサポート終了を迎えました。Internet Explorerは、インターネットが一般に普及していく黎明期にあたる1990年代から2000年代にかけて圧倒的なシェアを誇ったウェブブラウザーの代名詞といえる存在でしたが、ついにその役割を終えたといえます。

シェアが大きかっただけに、長年愛用してきたユーザーは少なくありません。またインターネット上には、Internet Explorerの仕様に合わせて構築されたウェブサイトも多数残されています。しかしウェブブラウザーに限らず、サポートが切れたOSやアプリケーションを使い続けると、脆弱性をサイバー犯罪者に狙われるなど、大きなリスクと隣り合わせになります。

今回はInternet Explorerが歩んだ歴史を振り返るとともに、サポートの終了したアプリケーションとの適切な距離感を考えてみましょう。

インターネット普及期の標準ブラウザー

1995年、それまでの「マイコン」ファンのみならず、一般の方々まで巻き込んだパソコンブームが起きました。この年にWindows95が発売されると、量販店などに行列ができたのです。そして、Windows95に標準搭載されていたのが、初代のInternet Explorerです。

以後、Windows OSは家庭やオフィスのPCとして主流となり、同時にInternet Explorerはシェアを確かなものとしていきました。当時Internet Explorerの利用は、PCを最初に覚える時の標準的なインターネット環境だったのです。

Internet Explorerはその後、独自の機能や仕様を加えながら進化していきました。しかし2000年代にFirefoxやChrome、Safariなど他の人気ブラウザーが次々に登場し、Internet Explorerはウェブサイトの標準規格への対応が遅れたことで、次第にシェアを減らしていくことになりました。そして2015年、Microsoftは自社製品であるInternet Explorerの後継ブラウザーとして、Edgeを発表。今年サポート終了となったのです。

「規定のブラウザー」の変更を

サポートが終了した今、再度確認しておきたいのはPCの「規定のブラウザー」です。ウェブ閲覧の際にInternet Explorerが最初に立ち上がるとしたら、別のブラウザーに変更しておきたいところです。

Internet Explorerは歴史のあるブラウザーだけに、今となっては設計が古くなった部分もあります。スマートフォンといった最新デバイスへの対応や、セキュリティリスクの大きさがInternet Explorerの弱点となっていました。

サポート期間中であれば、随時アップデートが提供され、脆弱性を手当てし、新しいオンライン脅威への一定の予防が可能です。しかし期限切れによって、そうしたアップデートもなくなってしまいました。Internet Explorerを使い続けるとマルウェアや不正アクセスをはじめ、サイバー犯罪の被害に遭う確率が高まるといえます。

提供しているMicrosoftは、同社の最新ブラウザー、Edgeへの移行を推奨しています。一般に新しく設計されたアプリケーションは、操作性が改善され、安定性やセキュリティ性が高いのもメリットです。

過去に作られた、Internet Explorerに最適化したウェブサイトの中には、費用の問題などで移行が困難なサイトがあるといわれます。Edgeは同じMicrosoft製品だけに、「IEモード」を有効にすることで、Internet Explorer用に設計されたウェブサイトをスムーズに閲覧することも可能になっています(https://windowsfaq.net/windows/microsoft-edge/how-to-enable-ie-mode-on-edge/)。

もちろんChromeやFirefox、Safariといった他社の現役ブラウザーも評価が高く、そちらに乗り換えるのも良い選択肢になるでしょう。

規定のブラウザーを変更するには、Windows 10では「スタート」ボタンから「設定」→「アプリ」→「既定のアプリ」を検索・選択し、「Webブラウザー」で、切り替えることが可能です。

サポート切れは、OSやあらゆるアプリケーションでも発生

このようにサポート期限がやってくるのは、ウェブブラウザーだけではありません。OSや他のブラウザー、お気に入りのアプリケーションも、いつかサポートが終了する時がやってきます。例えばWindows10については、2025年10月14日がサポート期限として発表されています。現在Windows10を利用中であれば、今後数年でOSの乗り換えやPCの買い換えなどの対応が求められることになります。

インターネット接続が当たり前になった現代にあって、技術は加速度的に進化し、OSやアプリケーションはサイバー犯罪のリスクに絶えずさらされています。こまめなアップデートは面倒にも思えますが、侵入を試みるオンライン脅威からPCや個人情報を守るためには欠かせないのです。サポートが切れ、アップデートされなくなったOSやアプリケーションを使うのは、まさにカギをかけずに生活しているのと同じ。すみやかに最新版や、代替アプリケーションに乗り換えることを強く推奨します。

やむを得ない事情で、サポート切れのアプリケーションやOSを使い続けなければならない場合は、通常以上に、セキュリティソフトの使用が重要になります。適切なセキュリティソフトを導入して、少しでも脆弱性のリスクを軽減し、新しい環境への移行をご検討ください。

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