現代では様々な社会問題がありますが、そのうちの深刻な社会問題の一つが「ネット依存症」、そして「オンライン上の脅威」で、これらはインターネットの普及によって生まれた問題でもあります。こういったインターネットに関する問題は老若男女問わず、対象になっていますが、特に幼少期からインターネットに触れている子供にとっては身近な問題といえます。
私達はインターネットやSNSなどを通じて不特定多数と繋がり、リアルタイムでのコミュニケーションが可能となり、これまで知りえなかった様々な事を知って経験することができるようになりました。しかしながら、このようなメリットもある一方、「匿名でのやり取り」によって生まれる誹謗中傷や根拠のない「フェイクニュース」の蔓延などのリスクもあり、子供たちの成長に悪影響を及ぼす可能性があり、インターネットを利用する際には十分な注意が必要といえます。
保護者は実生活において子供をしっかりと守る責任がありますが、それはオンライン上でも同じことがいえます。しかしながら、急速なインターネット環境の変化に伴い、ほとんどの保護者が子供を守るためのオンラインセキュリティに関する知識が不十分なのが現状です。
子供がインターネット中毒にならず、危険に遭遇することなく、安心して使いこなせるようになるためにも、保護者はインターネットに対する適切な向き合い方を教えていくことが大切です。今回はネット依存症をはじめ、オンライン上の脅威から子供を守るために必要な親子で決めるべきルールについて紹介します。
子供がインターネットに触れる機会の変化と課題
2、30年前と比べて現代の子供達は、幼少期からインターネットに触れる機会が劇的に増えているといます。日本では1990年代の終わりから2000年代のはじめにかけて、両親が共働きだったり、ひとり親家庭の子供に携帯電話を持たせる習慣ができはじめました。当初、携帯電話は電話をかける機能だけでしたが、時代とともに進化してインターネットに接続できるようになり、同時に子供たちがインターネットに触れる機会が増えはじめました。特に2010年代以降はYouTubeの登場によって、物心がつく前からYouTubeでアニメや動画を見て育った子供も多いでしょう。このように昭和から平成にかけての時代をはじめ、ひと昔前の人々がテレビを見ることが当たり前だったように、現代の幼少期を過ごした子供達にとってはインターネットはもはや、なくてはならない生活必需品といえます。
しかしながら、そんな子供の年代のインターネットの浸透に反して、現状ではインターネット世界の秩序を管理するための法律やセキュリティ面に関する教育が十分に追いついていません。特に日本のような頻繁に法律を変えることが難しい国家の場合、インターネットに関する法整備や知識の習得は、他国と比べて遅れをとっているといえるでしょう。そして、サイバー犯罪者達がその法の隙をついて様々な犯罪を企ててきます。
インターネットを取り巻く環境が急速に進化している分、新たな問題も出てきています。特にSNS中毒をはじめとするインターネットに大きく依存する人の数は年々増加傾向にあり、そういった人が犯罪のターゲットとなりやすいです。なかでも子供はSNSやオンラインゲームなどに夢中になりやすく、長時間費やすことで感覚が麻痺してしまい、大金を課金してしまったり、写真や個人情報などが流出してしまうケースが後を絶ちません。
親と子で異なるオンライン上での危険に対する意識
現代の幼い子供がいる家庭では、子供をあやしたり、家事をする合間にYouTubeの動画を見せておくというのはよくある光景といえます。物心がつく頃になると1人でスマートフォンを使いこなすことができる子も少なくありません。一方で、子供たちに対してどのくらいの時間、インターネットやゲーム、スマートフォンを利用させるのが適切なのかという悩みを抱えている保護者がたくさんいます。
また、保護者の多くは、子供の頃から過度にインターネットに接してしまうと、悪い習慣が身についてしまったり、健康への悪影響を及ぼしてしまうなど様々な不安があると考えています。実際、ネット依存症やオンラインゲーム中毒になってしまうと、眼精疲労からの視力低下や慢性的な頭痛、睡眠障害など様々な病気にかかってしまう可能性もあります。なかには精神障害をきたしてうつ病になってしまい、学校に行けなくなるだけでなく、将来働けなくなって人生を棒に振ってしまいかねません。
日本国内では、中学生は7割以上、高校生は9割以上もの学生が自分のスマートフォンを持っています。塾や習い事に通い始めたり、安全面を考慮してというのが親が子供にスマートフォンを持たせる主な理由です。しかし、たとえ親がスマートフォンを使用する上での注意点や危険性を促したとしても、子供が十分理解しているとはいえないのが現状です。子供たちの多くは思春期になると、どうしても親の言う事をあまり聞かなくなる傾向があり、いくらオンライン上での危険性を伝えようとしても、なかなか聞く耳を持とうとしません。
近年、SNSを通じて児童買春や児童ポルノなどの性犯罪被害に遭う子供が急増しており、なかには死傷する事件も起こっており、警察庁や文部科学省、学校などが警鐘を鳴らしています。オンライン上では、このようなリスクがあることをしっかりと伝えることも親の役目といえるでしょう。そして、オンライン上での危険を回避するために、親子で話し合いながらしっかりとルールづくりをしていくことが大切です。
お互い納得したルールを親子で作ろう
近年、SNSを通じて子供が巻き込まれる事件が数多く起きており、肉体的、精神的に大きなダメージを受けてしまうと、将来が台無しになってしまいかねません。このような取り返しのつかない状態にならないためにはどのような対策を講じることがいいのでしょうか?
一般的に子供のしつけは、「こうしてはいけない」「あれはダメ、これはダメ」と子供を否定し、親の意見を押し付けてしまっては、逆効果になる場合があります。これはスマートフォンやインターネットの使い方についても同じことが言えます。たとえ、表面的なルールを作ったとしても「なぜいけないのか」を理解していなければ、実行することも、継続することも難しいでしょう。なので、幼い頃から自分で考えて理解することを習慣づけさせることはとても重要といえます。
幼少期には、親が見守る中で使わせるなど限定することが可能ですが、小学校高学年から高校生にかけての思春期を迎えるとそうはいきません。思春期特有の難しさもありますが、中学生は「大人とのルールを守る習慣を付ける」、より大人に近い年代である高校生では「その行動をしたことで起こる結果まで考え、責任を持った使い方をできるようになる」といったように、成長の段階に合わせて目標を設定することが理想的といえるでしょう。
そして、保護者はたとえ思春期になったとしても子供と接することを止めてはいけません。子供の興味のあることを把握するなど常に会話を持つことを意識し、子供が困った時にいつでも親に助けを求められる状態を整えておくことが大事です。年齢を重ねるにつれてどうしても親に言いにくい事も出てくると思うので、子供の変化に気付くためにも保護者は常に気を配るように心がけましょう。
また、子供が使っている端末を保護するためにセキュリティソフトを利用するという方法もあります。特にマカフィーが提供しているセキュリティサービスを導入することで、マルウェアやフィッシングサイトをはじめ、不適切なアプリやコンテンツからお子さんがお使いの端末を保護することが可能です。さらには、24時間365日IDを監視する機能によってお子さんの個人情報を保護します。ぜひ活用を検討してみてください。
まとめ
今回紹介したネット依存症やオンライン上での脅威は、子供だけにとどまらず、全ての人間にとって大きな課題の一つです。生まれた時からインターネットがあることが当たり前になっている世代に対して、幼少期の頃からオンライン上でのセキュリティ対策を習慣づけさせることは今後、大人になるにつれて非常に重要な意味を持つことでしょう。
そして保護者は、子供が成長していく段階に合わせて適切なセキュリティ対策を教えるためにも、普段から子供との距離感が大切です。子供は学校など親が知らないところで様々なことを経験して少しずつ大人に近づいています。たとえ、思春期でどんなに会話が減ったとしても、常に子供のことは気にかけることを意識し、何か起きた場合にはすぐに助け舟を出してあげれるように準備しておきましょう。