SNSやマッチングアプリを悪用した詐欺の手口と対策を紹介

ひと昔前であれば信じられなかったでしょうが、今や人々はインターネットを使って新しい出会いを求める時代になりました。世界中の多くの人たちにとってインターネットは「出会いの場」であり、毎日、何百万人もの人たちがインターネットを通じてSNSやマッチングアプリ、出会い系サイトなどを利用して、それぞれの目的に最適な相手を探しています。

しかし一方で、そうしたインターネット上のウェブサイトやアプリを通して出会い、犯罪に発展した事件も後を絶ちません。オンライン上にいる犯罪者達は、新しい人との出会いを求める人々の気持ちを悪用するために偽のプロフィールをはじめ、マルウェアなどが仕込まれているウェブサイトへの誘導やフィッシング詐欺など、ありとあらゆる方法を駆使して金銭や個人情報を手に入れようとしてきます。今回はインターネット上での出会いを悪用した犯罪事例とともに、被害を事前に防ぐための対策を紹介します。

オンライン上で出会いを求める人々が増加

古来から多くの人間は新たな出会いを求めており、これは世界共通といえます。日本でも出会う目的は人それぞれですが、インターネットの登場以前の1980年代のテレフォンクラブをはじめ、1990年代半ばで登場した出会いサイトやポケベル、PHS、携帯電話を利用する出会いに関するサービス、そして近年のSNSやマッチングアプリと、これまで各時代によって様々な出会いを求める方法が流行っています。

出会いを求めるのは何も10〜20代の若者だけではありません。近年、日本では1年間におよそ60万組が結婚していますが離婚するのも約20万組と、3組に1組が離婚する時代です。離婚する割合が増えている分、再婚するために出会いを求める人や30代以降に結婚相手を探している人、なかには人生の最後を過ごす相手を探している高齢者もいます。最近ではマッチングアプリを通じて知り合って結婚したという話は珍しくなくなりました。このように老若男女問わず各年代で常にニーズがあり、多くのユーザーがマッチングアプリをはじめとするインターネット上に出会いを求めているのです。

しかしながら、インターネット上での出会いには詐欺師がサイバー犯罪者などによって仕掛けられた多くの罠が潜んでいるのも事実です。出会いを求める相手に偽の愛情を示して巧みに誘惑し、犯罪に巻き込もうとしてくるのです。

出会い系アプリとマッチングアプリの違い

出会い系アプリやマッチングアプリを利用したことのない人にとっては、両者の違いがわかりません。出会い系アプリ(サイト)は、それぞれ多種多様な目的ですぐに会うことができる可能性が高いアプリです。多くの出会い系アプリはポイントを購入する従量課金制を採用しており、ポイントを使って相手にメッセージを送信することができ、連絡を重ねることで実際に会うまでに発展するという仕組みです。ただし、これまで出会い系アプリ関連で多くの犯罪が起きてることもあって、多くの人にとってはあまりイメージはよくないのが現状です。

対するマッチングアプリは、2012年頃に登場した主に恋愛したい人や結婚したい人が利用するアプリです。料金体系は定額制で契約期間によって金額が異なります。システムをその名の通り、好みの相手が見つかったらアプローチをして相手が認証してくれればマッチしたことになり、会話をすることができます。本人確認の必要があるため、既婚者などは登録できないことになっているのも出会い系アプリと比べて信頼性が高い理由でもあります。最近ではドラマや映画の題材にもよく使用されており、身近な存在となりつつあります。

どちらのアプリも男女比は圧倒的に男性の方が多いこともあり、女性の利用が無料となっているアプリが多いです。しかし、この出会い系アプリとマッチングアプリをはじめ、SNSを含むインターネット上での人々の出会いによって、これまで性犯罪、ストーカー、詐欺など様々な事件が起きています。

2008年に施行された出会い系サイト規制法によって、18歳以下の使用ができなくなったことで未成年のトラブルは減りました。出会いを提供している各サービスは、犯罪防止のために年齢確認や24時間体制での監視などを徹底することろが増えたものの、InstagramやX(旧Twitter)などではいまだに様々な事件が起きています。

インターネット上での出会いによる被害事例

多くの人がインターネット上で出会いを求めている反面、様々な犯罪に巻き込まれています。以下では、インターネット上で起きた出会いによって発生した主な被害事例を紹介します。

同情を悪用する詐欺

詐欺師は、アプリ内で使用されるプロフィールを勝手に偽の容姿端麗な写真を使って作成し、ターゲットのユーザーに対してメールやチャット、電話などを使って1対1で接触を試みて良好な関係を築いて信頼を得ようと企てます。ある程度の信頼が得られると、今後は親が病気で入院費が足りない、親友の保証人になってお金が必要になったなどと同情させ、あなたの心につけ込んでお金を騙し取ろうとしてきます。もちろん、入金してしまったら最後、すぐに連絡が取れなくなるのは明確です。

投資詐欺

インターネット上のアプリやSNSで知り合った相手に投資を勧められて詐欺の被害に遭う事件も起きています。詐欺師は相手との連絡や会う頻度を重ねて一定の信頼を得ると、投資の話を持ちかけてきます。FXでの取引など、比較的簡単な投資で一度儲かる成功体験をさせ、2回目以降に大金を振り込む、または預けた途端に連絡がつかなくなります。最近では現金よりも、追跡するのが難しい暗号資産などを騙し取られてしまう事件が多発しています。

高額な料金の支払いをさせる

マッチングアプリで知り合った相手と高級エステ店やぼったくり店を訪れて、相手に数十万から数百万ほどの高額な料金の支払いをさせる事件も起きています。訪問したお店と詐欺師はグルの場合もあり、持ち金がない場合はATMまで店員と一緒に向かい、お金を引き出させる場合があります。このようなケースは、騙されたユーザーが自ら支払ったという解釈もできるので詐欺犯罪との区別が非常につきにくく、詐欺師達はそこをうまく狙っているのです。

恋愛詐欺で個人情報が盗まれる

マッチングアプリなどを使って個人情報を盗もうとする手口として多いのは結婚詐欺や国際ロマンス詐欺です。詐欺師は、ターゲットと結婚するつもりがないのにも関わらず、相手と真剣に結婚を考えるほどの信頼関係を築いた後に、結婚の手続きをはじめ、旅行に行く際に住所やクレジットカード情報などの個人情報などが必要だと相手に求め、その個人情報をもとに様々な詐欺を働きます。詐欺師は金銭的な利益を得たらすぐに連絡が取れなくなるでしょう。

デバイスがマルウェアに感染

なかには個人情報を盗み出すために作られた危険なウェブサイトに誘導する手口もあります。犯罪者はインターネット上の出会い系サービスを通して知り合ったユーザーに対して、チャットやメッセージのやりとりの中でウェブサイトのURLを送信してクリックするように促します。しかし、URLをクリックしてしまうとお使いのデバイスがマルウェアに感染したり、トロイの木馬をインストールされてしまうのです。特にマルウェアは一度感染すると非常に厄介で、個人情報の漏洩をはじめ、最悪の場合はお使いのデバイスを制御不能にしてしまう可能性があります。クリスマスやお正月、バレンタインデーなどのイベント時にはこのようなマルウェアが仕込まれたオンライン詐欺が横行するので注意しましょう。

恋愛詐欺から身を守るための対策

マッチングアプリやSNSを通して相手の恋心を悪用した詐欺は後を絶ちません。恋愛詐欺の被害に遭わないための対策を以下にまとめました。

  • SNSには、本名や住所、電話番号をはじめ、個人を推測できる情報を絶対に投稿しない
  • SNS上で見知らぬ人からのリクエストを安易に承認しない
  • 見知らぬ相手からのメッセージや本文内のURLは絶対にクリックしない
  • マッチングアプリを利用する際は信頼性が高いかどうかを考慮した上で選ぶ
  • アプリ内のプロフィールで氏名や住所、電話番号などの個人情報は、サイトに登録を求められた場合など、必要な箇所以外は絶対に登録しない
  • メッセージの内容が怪しいなと思った場合は連絡をやめる、またはアプリやサイトの管理会社に報告する
  • 相手と直接会う際は、決して自宅は教えず、人けのない場所ではなく公共の場所で会うなど細心の注意を払う
  • アプリで出会った相手が金銭に関する話をしてきた場合は、すぐにアプリやサイトの管理会社に報告する

まとめ

今回は出会い系サイトの利用者を狙ったサイバー犯罪の手口とその対策について解説してきました。最近は長く続いたコロナ禍で飲み会や合コンなど実際に出会う場が少なくなった分、オンライン上に出会いを求める人が増えたといえます。

マッチングアプリやSNSなどを通じて多くのカップルが付き合いを始めたり、結婚したケースは珍しくなくなりました。しかし、オンライン上で出会いを求める人の全てが誠実だったり、健全な目的で利用しているわけではなく、なかには詐欺を働く犯罪者がいることも忘れてはいけません。詐欺師をはじめとする犯罪者の多くは金銭目的で、真面目に恋がしたいユーザーの気持ちを悪用し、様々な罠を仕掛けてきます。マッチングアプリやSNSなどインターネット上で多くの人と出会うのは自由ですが、犯罪に巻き込まれてからでは遅いです。もし、インターネット上で出会った相手に金銭的な悩みを相談されたり、個人情報を求められた場合は詐欺である可能性が高いので決して教えないようにしましょう。

たとえ、オンライン上で良い関係が続いていた場合でも、相手はあくまでも一度も会ったことのない素性の知れない相手に過ぎません。オンライン上で知り合った相手と交流する際は、常に危険を意識しながら素敵な出会いを探すように心がけましょう。

個人情報・ID保護機能

もし、オンライン上でお客様の情報が盗まれたことを検知した場合、他の同様のサービスよりも最大10ヶ月早く警告を受けることができます。

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