子供のスマートフォン使用は制限すべき?

「どうやって上手な使い方を教えていくか」

進級や進学、就職、転勤など生活が大きく変わる時期には、スマートフォンを新しく契約したり、乗り換えたりという人も多いのではないでしょうか。特に子どもたちにとっては、「初めて持つスマートフォン」であることが多いでしょう。スマートフォンやネットは動画やゲームだけではなく、知育アプリや調べもの、友達とのコミュニケーションにも欠かせない、子どもたちにとって“必要なもの”になりつつあります。周囲の大人や学校にとっては、もはや「持たせるかどうか」というより、スマートフォンの利点とリスクを天秤にかけて「どうやって上手な使い方を教えていくか」が悩みどころになっているのではないでしょうか。今回は、子どもの安全や成長を見守るうえでの、スマートフォンとの距離感について考えてみました。

子どもにも身近なスマートフォン・ネットとそのリスク

両親のスマートフォンを手にとって動画を閲覧したり、ゲームや教育アプリを楽しんだりと、乳幼児期からスマートフォンを“使いこなしている”子どもは、今日では珍しくなくなりました。小学校に上がり、学年が進んでいけば、宿題の調べものや学校の連絡、また友達同士の話題としても、スマートフォンやアプリの存在が大きなものになっていきます。デジタル時代にあって、スマートフォンの使い方を早くから覚えるのは悪いことではありません。とはいえ周囲の大人としては、どうしても心配してしまうもの。一般に、日本の家庭では、子どもにどうスマートフォンとの付き合い方を教えているのでしょうか。

2016年にマカフィーとMMD研究所が行った調査で、中学生のスマートフォン所有率は40.9%でした。使い始める時期としては小学5年生から増えはじめ、中学1年生で持たせたという親が最も多く、48.7%に及びました。親が子どもに携帯電話を持たせようと思った理由として多かったのは「塾や習い事に通い始めた」。それに対して子どもは「LINEがしたかった」という回答が多数を占めているなど、親子で意識差があるようです。そこには「友達が持っているからほしい」「同じことをしたい」という思春期らしい心理もあるでしょう。

一方で、スマートフォンを使っている中で危険に遭遇している子どもも少なくありません。中学生年代の使い方でも、実際にあった体験として「SNSで知らない人から友達申請(28.6%)」「ワンクリック詐欺の画面の出現(17.0%)」や「意図しない有料サイトへの登録(8.9%)」などを経験していることが分かりました。

こうした場合には、知識がある大人がある程度、危険を避ける知恵を教えてあげなければなりません。しかしこの調査では、「親子でスマートフォンについてよく会話する」との答えは26.6%にとどまっています。もしかすると教えたくても、教え方に迷ってしまうという保護者の方が多いのかもしれません。高校生年代になると、既に93%が自分のスマートフォンを持っており、90%がスマートフォンを勉強に使った経験がありました。「知りたいことをすぐに調べられる」「友達・家族との連絡を簡単に取れる」という声も多く寄せられ、使い方はかなり大人に近づいている様子が見て取れます。それだけに、なるべく早いうちからネット上のリスクを避けるための知識を身に付けたり、安全な利用環境を整えたりしておくことが大切といえるのではないでしょうか。

家族のルールづくりと、リテラシーを高める工夫を

子どもたちにスマートフォンを使いこなしてもらううえで、所有率が伸びる中学生年代までに、スマートフォンやネットにひそむリスクや、基本的な対処方法を伝えていくことが大切といえるでしょう。

まずは適切な行動を学ぶため、家族でどんなリスクがあるのかを話し合い、スマートフォンの使用ルールを決めておくことがおすすめです。ネットは世界に開かれた公共の空間であることから、マナーを守る大切さについてもこの時期に身に着けておくと良いでしょう。そして大人はルールを守らせるだけではなく、子どもの使用状況をしっかりと見守ってあげることも意識してください。定期的にコミュニケーションを取って、実際に起こった出来事を振り返りながら教訓を引き出し、ルールをアップデートしていくといっそう身に付きます。

では、どうやって見守っていくか。上記の調査の中では、親はスマートフォン使用の見守りに一定の危機意識を持っていることが分かりました。「欲しい機能」として「使用状況の確認」「アプリ内課金の禁止/制限」などが上位に挙がり、スマートフォンやアプリの機能を見守りに役立てたいとの意向があるようです。フィルタリングサービスや位置情報確認などは、大手通信キャリアや端末メーカーも提供していますが、じゅうぶんに使われていないようです。中学生の親が子どものスマートフォンでフィルタリングサービスを「利用している」は48.5%、「利用していない」は34.9%。iPhoneを利用する中学生の親461人の中で、機能制限を「設定している」が41.0%、「設定していない」が39.3%にとどまりました。

マカフィーの保護者機能は、1つの管理画面から、フィルタリングサービスや位置情報確認のほか、ゲームやアプリ内課金の制限など細かい設定で見守ることができるようになっています。家庭や子ども1人ひとりに応じてカスタマイズできますので、こうした製品を使って段階的なサポートをしながら、家族の安心なネットライフを目指してみてはいかがでしょうか。最後に、警察庁が毎年公開している統計を見てみましょう。かつて多かった出会い系サイトの被害児童が減る一方で、近年はコミュニティサイト経由の被害が急増しています。これは一例ですが、ネット上の危険にも”時代のトレンド”があるのです。セキュリティは「これが正解」と教えるだけではなく、随時コミュニケーションを取りながら、家族ぐるみでリテラシーを高めていくように意識していきましょう。

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