2019年末からの世界的なコロナウイルスパンデミックは、それまでの自分達の生き方を見直すきっかけになったとともに、私達日本人の働き方に大きな影響を与えました。その代表ともいえるのが在宅勤務を意味するリモートワークの浸透で、今では正社員ながらフルタイムでのリモート勤務という労働スタイルも少なくなりません。このリモートワークの普及によって通勤時間がなくなり、個人で自由に使える時間が大幅に増えるなど、多くの人がその恩恵を受けています。
その一方、自宅やカフェなど会社外で仕事をする機会が増えたことで、機密情報の取り扱いに関して様々な問題が発生しています。最近、ニュースでたびたび世間をにぎわせている個人情報の流出は、現代社会が抱える問題の一つでもあり、この先も増え続ける可能性が高いでしょう。今回は、リモートワークの際のデータの共有や取り扱い方を紹介します。
働き方の変化とともに増加し続けるデータ漏洩
会社に出社せずに自宅やカフェなどで仕事をするリモートワークが社会に本格的に浸透しはじめて、3年以上が経ちました。個人にとって仕事とプライベートの区別が明確になることは歓迎すべき変化といえますが、新たな課題が出てきたのも事実です。リモートワークへの移行によって各企業のセキュリティ担当者は、オンライン上での新たなセキュリティに関する課題に対応しなくてはいけなくなりました。会社外で作業を行なうことで機密情報を扱う頻度が増えた分、サイバー犯罪者に狙われる可能性が高まり、度々個人情報が流出しています。
また、リモートワークの浸透と比例して、個人のインターネットに対する不安が増しているというデータもあります。2023年5月29日に総務省が発表した令和4年通信利用動向調査によると、日本国内のインターネット利用者の7割前後が不安を感じていることがわかりました。不安を抱く主な理由としては、個人情報やインターネット利用履歴の漏洩(88.7%)が最も高く、コンピュータウイルスへの感染、架空請求やインターネットを利用した詐欺なども半数を超えていました。実際、リモートワークの場合は会社側が各従業員の自宅のセキュリティを管理できず、会社の端末と個人用の端末を混同して使用してしまい、結果的に情報が漏洩したり、ウイルスに感染してしまうというケースが後を絶ちません。
そして最近では、通信環境さえあれば国内外と働く場所を問わないノマドライフや地方自治体が積極的に行なっているワーケーションという働き方もあります。特にワーケーションは、主に東京など都心部で働く人が地方や旅行先などでリモートワークを行ない、地方に還元するという地方活性化のための戦略として活用されています。
人々がせわしなく生活している都会と違って、地方は穏やかな空気が流れて心身共にリラックスできるというメリットがありますが、一方で気が抜いてしまい、セキュリティ面をおろそかにしがちになる可能性もあります。加えて、都会よりも地方のほうがセキュリティ面が脆弱な場所が多く、サイバー犯罪者達はそんなちょっとした隙を狙ってきます。
リモートワークに潜む危険性
入社2年目のAさん。コロナ禍に入社し、これまで仕事の大半はリモートワークで自宅で行なっていました。そんなある日、作成した資料のファイルを先輩のBさんに送る際、いつもプライベートで使っていたDropboxにデータをアップしてBさんに共有しましたが、Aさんは叱られてしまいました。最近は多くの人がクラウドストレージを個人で使用しており、プライベートでも気軽に使われるようになっています。クラウドストレージはどこにいてもデータを受け渡すことができ、グループで作業する際にも便利なものです。しかし、Aさんは自分のプライベート用のアカウントで送信してしまいが怒られてしまいました。もし、アカウントがサイバー犯罪者に乗っ取られてしまうと、会社や顧客情報が流出して、大きな損害をもたらす可能性があります。
また、自宅のパソコンに仕事用のファイルを保存すると、ファイル共有ソフトを通してプライベートなファイルと一緒に会社のデータが流出したケースもあります。仕事関連のデータを送信したり、取り扱う際は、絶対にプライベート用のアカウントは使用しないようにし、できるだけ会社専用の端末を使用することをおすすめします。
この状況でAさんがとるべきだった対応としては、まず会社で契約しているクラウドサービスがあれば、必ずそれを使用し、会社で定められているルールに則って実行するべきでした。仮に会社で契約しているサービスがない場合は、より安全性の高いサービスを利用するのが望ましいといえます。
そして、データを受け取る側のセキュリティ意識も重要です。最近、日本では顧客データなど大量の個人情報が流出する事件がよく起こりますが、その多くは従業員が受信した不正なメールに添付されているファイルを開いたり、URLをクリックしてしまい、マルウェアに感染してしまうケースです。オンラインでのやり取りは手軽であるだけに、警戒心が薄いとこのような詐欺に引っかかりやすく、ちょっとした判断ミスが会社に大きな損害を与えかねません。データの送信、受信する時はともに、送信先や添付ファイルが正規のものかどうか、怪しい点はないか、慎重に確認する習慣をつけることが大切です。
人為的なミスを減らすための心構え
近年は日本の複数の自治体で、数十万件もの個人情報が流出した事件が発生しています。事件が明るみに出ていると、流出につながったのは職員の不用意な行動だったという事例もみられます。本来は厳重なセキュリティで守られているはずのデータを職員が自宅で業務を行なうために持ち帰り、流出させてしまったケースです。このような不必要な持ち出しは絶対にしてはいけません。流出被害のリスクがあるだけでなく、持ち出すこと自体が所属先の信用を下げ、自分自身も責任を問われる重大なことなのです。万が一、データ流出があった場合の社内外に与える影響は大きく、「悪意はなかった」「ついうっかり」という言い訳は通用しません。
また、オンライン上でのセキュリティ対策では、「これをやったから100%安全」と言い切るのは存在しません。地味ではありますが、危険な可能性のある芽をひとつひとつ摘んで、トータルでの安全性を高めるという考え方が大切です。そしてデータの漏洩に気付いた場合は躊躇せずに上司にすぐに報告しましょう。一人のビジネスパーソンとしても、組織としても、迅速な対応ができるかでその後の信頼を左右することになります。
リモートワークでデータを共有する際に気をつけるべきポイント
以下では、リモートワークでデータを共有する際に気をつけるべきポイントをまとめました。
会社のルールを守る
データの取り扱いに関して会社のルールがある場合は守りましょう。送信する際は送信内容や送り先、使用するアカウントを間違えていないかを事前にしっかり確認します。特に「1回くらい大丈夫」、「自分だけは大丈夫」、「これくらい大丈夫」などという甘い考えを持っているとサイバー犯罪者に隙を与えてしまうので、あらゆる場面で細心の注意を払いましょう。
トラブルはすぐに報告
もし、データ漏洩などトラブルが発生した場合は、昼夜問わず、すぐに上司や情報システム部門へ報告するようにしましょう。できるだけ早い方がデータ漏洩を防げる可能性が高まります。
パスワードを利用する
データを盗まれないためにもセキュリテイ対策として、オンライン上でデータを送る際はパスワード設定をし、受信先がパスワードを入力しないとデータが開けないようにしましょう。
VPNに接続する
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、接続することでインターネット上で送受信するデータを暗号化することができるため、外部に見られる心配がありません。なので、データの送信に限らず、安全性が高めるためにも普段からインターネットを利用する際はVPNに接続することを心がけましょう。
ウイルスに感染していないかスキャンする
USBメモリなどの記憶媒体には、マルウェアが潜んでいる可能性があります。データを保存する前に、まずはウイルス対策ソフトを使ってスキャンして安全性を確保しましょう。
セキュリティ対策ソフトを使用する
お使いのデバイスやファイルをマルウェアなどの脅威から保護し、高度なモニタリグサービスによって個人情報が漏洩していないかを監視するなど、様々な機能を兼ね備えている高性能なセキュリティ対策ソフトを活用するのがおすすめです。
まとめ
今回は、データをサイバー犯罪者の手に渡らないために安全に送信するために気をつけるべきポイントを紹介してきました。現代において、オンライン上では様々なデータが四六時中狙われているといっても過言ではありません。オンライン上で仕事の機密データを送信する際は、まず会社が決めたルールを守るなど様々なことに気をつけなくてはなりません。特にリモートワークで自宅やカフェなどで仕事をする際は、より注意する必要があります。
また、職場や自宅、または地方や旅行先と、どんな環境下においても仕事関連のデータを扱う際は、上記で紹介したポイントを実行することがデータ保護に繋がり、これらを普段から意識することが重要です。
さらに安全性をより高めるためには、マカフィーが提供しているような包括的なセキュリティ対策サービスを導入することも一つの手といえます。長年、サイバーセキュリティ業界をけん引してきたマカフィーは、多くのユーザーから信頼されているウイルス対策ソフトをはじめ、ID保護機能 やVPN など優れたセキュリティ機能サービスを提供しています。これら最先端のテクノロジーを活用した機能によって、サイバー攻撃をはじめとするオンライン上のあらゆる脅威からユーザーのデバイスを保護します。もちろん、自宅や出先で仕事の機密データを送信する際も保護するので、セキュリティ面を気にすることなく、安心して仕事に集中することができるでしょう。